最初は義実家を建て替えるつもりだった
家づくりを考え始めた頃、実は義実家を建て替えて住むことを考えていました。
義母が亡くなり、義実家は空き家になりました。
都心へのアクセスも良く、駅からも近い立地です。
子どもたちの進学を考えていた我が家にとっては理想的な場所でした。
娘が中学生になるタイミングで移り住めたらちょうどいい。
そう考えていたため、当時は新たに土地を探すつもりはほとんどありませんでした。
「再建築不可」とは聞いていたけれど
義母からは以前から、
「この家は建て替えができない土地なんだよ」
と聞いていました。
ただ正直なところ、その時は深く考えていませんでした。
建て替えができないと言われても、なぜできないのか分からなかったからです。
家づくりを考え始めて初めて、本格的に調べることになりました。
建て替えできない理由は家への入り方だった
義実家は大通りから細い通路を通った先にあります。
さらにその通路から隣家との隙間を通って敷地へ入る形になっています。
いわゆる「旗竿地」と呼ばれる形状の土地です。
家づくりを考え始めてから改めて調べてみると、建て替えには「接道義務」という条件があることを知りました。
道路に2m以上接していなければ、原則として建て替えはできません。
そして我が家の場合、その条件を満たしていませんでした。
隣家との隙間を通って敷地へ入るため、建築基準法で定められた幅を確保できていなかったのです。
消防車や救急車などの緊急車両が入れない可能性があるため、建て替えが認められていませんでした。
専門業者へ相談したり、役所で確認したりする中で、
「ああ、だから建て替えできないのか」
とようやく理解しました。
正直、理不尽だと思った
ただ、理由が分かったからといって納得できたかというと、それは別の話でした。
義実家が建てられたのはずっと昔です。
当時は普通に販売され、普通に家が建てられ、普通に人が暮らしていました。
それなのに何十年も経った今になって、
「この土地にはもう建て替えできません」
と言われる。
もちろん、安全面のために今のルールが必要なのは理解できます。
でも、最初からその条件だったわけではありません。
普通に購入し、普通に住んできた人たちからすると、後になって突然選択肢を失ったような感覚でした。
だから私は今でも少し理不尽だと思っています。
最初はリフォームで何とかできないかと考えた
再建築不可だと分かっても、すぐに諦めたわけではありませんでした。
駅に近く、都心へのアクセスも良い。
子どもたちの進学を考えても魅力的な立地です。
できることなら、この場所に住み続けたいと思っていました。
そこで次に考えたのがリフォームでした。
柱が残っていればリフォームできると知った
調べていく中で、大規模な改修であっても柱が残っていればリフォームとして扱えることを知りました。
「それなら何とかなるかもしれない」
そう思い、複数の会社へ相談しました。
ただ、築50年ということもあり、現地を見た会社の反応はさまざまでした。
中には、
「うーん、ちょっと厳しいですね……」
と、やんわり断るような雰囲気の会社もありました。
耐震にはどうしても限界があった
建物の梁や柱は、築年数を考えると意外としっかりしていました。
しかし基礎はベタ基礎ではありません。
耐震補強はできても、どうしても限界があります。
ある会社からは、
「耐震といっても結局は何回の揺れに耐えられるかです。
一度大きな地震が来たら避難所へ避難すればいいんですよ。」
という趣旨の話もされました。
でも私は納得できませんでした。
大人だけなら割り切れたかもしれません。
でも子どもたちがいる以上、
「地震が来たら避難すればいい」
を前提に家を選ぶことはできませんでした。
まさかの人件費だけで500万円
そして最後に大きな壁になったのが工事費でした。
問題は建物ではなく、家までの道です。
義実家には駐車場がありません。
さらに敷地へ入るには隣家との狭い隙間を通らなければなりません。
当然、工事用のトラックは入れません。
資材を搬入するたびに大通りへトラックを停める必要がありました。
すると今度は交通整理員が必要になります。
見積もりを見て驚きました。
交通整理の人件費だけで約500万円。
正直、二度見しました。
「え? 人件費だけで?」
というのがその時の率直な感想でした。
耐震の問題。
工事の制約。
そして500万円の人件費。
そこでようやく、
「この家で暮らし続けるのは難しいのかもしれない」
と現実を受け入れることになりました。
再建築不可よりも、その先が厳しかった
今振り返ると、再建築不可そのものよりも、
- 耐震への不安
- 工事費の増加
- 搬入の制約
こうした問題が次々出てきたことの方が大きかったと思います。
義実家は立地だけを見れば本当に魅力的でした。
駅も近く、子どもたちの進学を考えても理想的な場所です。
だからこそ最後まで悩みました。
でも家を建てるなら、これから何十年も安心して暮らせる場所にしたい。
子どもたちの安全を考えた時、私はリフォームを諦める決断をしました。


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